研究助成成果集 第29号

研究助成成果報告

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(年度順五十音順)


[研究助成(S)] 1件
SAVS platform for Mega-navigation in city transportations including Autonomous Vehicles
鈴木 恵二
公立はこだて未来大学 システム情報科学部 教授
社会の変容に伴い人々と交通システムの間に不調和が生まれてきている.この不調和を解決するものとして,MaaSの概念に本研究グループが開発を進めてきたAI便乗を特徴とするSAVSを融合させたMaaS-SAVSを提案し,そのシステム開発と静岡MaaSを対象に,2回の社会実装実験を行った.その結果から,SAVSの社会受容性,移動行動の変容,MaaS-SAVSへの期待向上が図られた.

[研究助成(A)(B)] 37件
Visualization of Forests, Generation of Yarding Routes and Optimization Technology for Forestry Operations
白井 裕子
慶應義塾大学 政策メディア研究科 准教授
本研究では、民生用のビデオカメラで撮影した動画から山林内を可視化し、資源の状況を把握するシステムを開発した。また山林内の集材ルートを生成するプロトタイプシステムを開発した。木材の伐採、集材、運材などの林業の作業に関する情報通信システムについては、欧州での技術開発動向も把握した。
Remote monitoring of blood flow using a multi-point wearable sensor
関野 正樹
東京大学  大学院工学系研究科 准教授
組織移植を行った部位の血流をモニタリングするためのウェアラブルデバイスを試作し、計測されたデータから血流障害を自動判定するアルゴリズムも開発した。動物実験等によって,デバイスの有効性を示した.患者の行動を制限することなく移植組織術後の血流を継続的に観察し、血流障害の即時検出が可能なモニタリングシステムを実現する見通しが得られた。
Development of a Surgical Instrument for Measuring Biaxial Cutting Forces of Biological Soft Tissues
安孫子 聡子
芝浦工業大学 工学部 電気工学科 教授
単一起歪部による2軸方向の切断力の計測が可能なセンサ一体型術具の開発を行った.単一の起歪部において切断方向とその垂直方向の力の計測のためには,両方向に対するひずみ感度の等方性が必要である.ここでは,楕円型の起歪部を設計し,その実現を図った.また,ひずみゲージの特性を利用し,2軸方向の力を分離して計測する手法を提案し,その有効性を示した.
Japanese Sign Laungage Classification Method usig Gathered Images Creation and Convolutional Neural Networks
伊藤 伸一
徳島大学 大学院 社会産業理工学研究部 講師
集約画像生成法と人工知能(AI)を組合わせた新たな手話認識技術を創生する。手指動作手話は単語ごとのその動きの長さが異なり、加えて、手話をする人によってその動きの速さが異なる、ことが手話認識において重要な課題となる。手指動作手話の動作を1枚の画像に集約し、上記課題を克服する。また、AIを用いて集約画像から特徴を抽出し、手話を認識する。
Multi-modal cell phenotyping for networked biophotonics
太田 禎生
東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
細胞の構成要素を、細胞を壊して読み出す分子フェノタイピングと、壊さずに構造を観るイメージング技術は共に重要ですが、異なる装置から出てくるデータを統合して用いるのは容易ではありません。本研究では、これらを繋ぐ技術の重要構成技術となる高速三次元フロー蛍光イメージング技術を、開発しました。
Study of Real-time Multispectral imaging for supporting human vision
大寺 康夫
富山県立大学 工学部電気電子工学科 教授
ものづくりや農業の分野でヒトの視覚を支援することを念頭に置いた、小型・スナップショット型マルチスペクトルセンサーを開発することを目的として研究を行った。小型化のキーはナノフォトニック技術を用いたマルチスペクトル光学フィルターで、この実装技術及び撮影画像から対象スペクトルを推定するための信号処理技術を開発した。
Omnidirectional video method with interactive control of viewpoint position
陰山 聡
神戸大学 大学院システム情報学研究科 教授
全方位動画は、視線の方向をユーザが自由に変更することができるのが特徴である。全方位動画の持つ対話性をさらに高め、方向だけでなく視点の位置もまた再生時に自由に変更することを可能にする新しい全方位動画の手法を開発した。その手法に基づき、動画再生中に視点位置と視線方向を自由にきりかえることのできるアプリケーションを開発した。
Development of Rapid Position Estimation Method using Compressed Sensing for Abodminal Organ with Respiratory Motion
國領 大介
神戸大学 大学院 システム情報学研究科 助教
呼吸性移動のある臓器内の注目位置・形状を高速に推定するために,少ない計測データより画像を復元可能な圧縮センシング技術を用いた手法を提案した.肝臓領域を取得した磁気共鳴画像において,画質が低下しない計測領域並びに収集率を検討・評価するとともに,得られた条件を用いて取得した画像において目標とした精度で臓器内の位置を推定することが出来た.
Development of high sensitive skin gas sensor for wearable and real-time health condition monitoring
田畑 仁
東京大学 大学院工学系研究科 教授
肝機能障害や疲労度に関連する皮膚ガスであるアンモニアに対して高感度、高選択性を有するウェアラブルアンモニアセンサーの開発を行った。アンモニアガスに反応する抵抗変化媒体として導電性高分子ポリアニリン(PANI)、ガス濃縮及びガス種選択に多孔質ゼオライトを用いたハイブリット構造ガスセンシングデバイスを作製し200ppbの感度を得た。
Diagnosis and treatment of malignant tumor by light-tissue interactions
角井 泰之
防衛医科大学校 防衛医学研究センター 助教
光吸収体への高エネルギー短パルスレーザー照射により発生するフォトメカニカル波を悪性腫瘍に適用することで,血管の透過性が亢進し,血中の光感受性薬剤を腫瘍へ輸送できた.そしてその結果,同薬剤と光との光化学反応による光線力学治療の抗腫瘍効果が有意に向上した.また同治療前後の血流をレーザースペックル法で観察し,治療機序について考察を行った。
Development of effective rehabilitation support system for accurate control of muscle tension
藤木 聡一朗
獨協医科大学 医学部 講師
筋張力制御おける運動イメージと実際の誤差について視覚的な提示の仕方に着目し、運動学習を促進させるシステム開発を目指した。事前に記憶した感覚を思い出して力発揮させる課題において、目標値と実際の力の誤差を線形に視覚提示して学習した場合よりも、非線形な関数を介して視覚提示して学習した場合の方が制御の精度が向上する傾向があった。
Basic Design of Mechanical Hand with Elasticity for Ball Sports
槇田 諭
福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 助教
本研究では手指の弾性特性を利用した球技に適用可能なスポーツ用装具・補助具の基本設計を探索する.ここではバレーボールのオーバーハンドパスを例に,ボールの緩衝動作および射出動作における,手指とボールとの接触状態を計測,推定した.これを踏まえて,弾性要素として磁気ばねを採用したハンドを試作し,健常肢との協調動作によるプレーの試技を検討した.
Optimization of surgical robot applying trial and individual difference in Brain activity
三浦 智
早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 助教
本研究では,遠隔で操作する手術支援ロボット操作者の脳活動を解析し,脳内の認知機能に適したロボットの構造設計を導出した.
Development of stress diagnosis system using four-dimentional interactive analysis of EEG and the autonomic nervous system
水野 由子(松本 由子)
兵庫県立大学 大学院応用情報科学研究科 教授
本研究では、人間のストレスを、簡単に測定・解析できる情動ストレス診断システムを開発し、簡便にかつ早期に情動ストレスを発見することを、目的とする。それにより、人間をストレスから解放し、ストレスに起因する心身の疾患や自殺を予防・防止することに寄与する。
Development of rehabilitation assistive device for unilateral spacial neglect using immersive VR
安田 和弘
早稲田大学 理工学術院総合研究所 研究院講師
半側空間無視とは,脳出血や脳梗塞などの脳血管障害を起因とする高次脳機能障害である.USNは,大脳半球病巣と反対側の刺激を報告すること,反応すること,向くことの障害であり,これまで臨床において三次元的な定量化が困難であった.本研究では没入型VRの利点を活用することで,近位空間および遠位空間でUSNを3次元的に評価するためのシステムを開発した.
Development of Pneumatic Artificial Skin Muscle Using Leather for Power Assist in Daily Life
山田 泰之
法政大学 デザイン工学部 准教授
産業用とは異なり,日常生活における身体能力のアシストは,アシスト能力だけでなく日常になじむ必要がある.そこで,衣服のような外観かつ,衣服のように装着可能な柔軟なアシストデバイスを目指して,複雑な身体になじむ面形状のソフトアクチュエータの研究開発と,それを用いた腰部アシストデバイスを試作した.
Harmonization of the human and machine by the eletronics
山家 智之
東北大学 加齢医学研究所 教授
人は人の心が読めることもある。機械は人の心が読めない。そんな時代はもう古くなる。東北大学は人体の顔や掌などの映像情報から、脈波、心拍情報を抽出し、逆問題で高次脳神経機能推定、心理学的な動きを観測できる新しい方法論を発明し、特許を取得した。このシステムでは人間と機械を真に調和させることができる
Robotic Clothing; changing its shape to modify behavior of its user
石井 裕之
早稲田大学 創造理工学部 准教授
今後,身の回りの様々なものが機械化・知能化されていくと予想されるが,申請者は衣服の可能性に注目している.衣服をロボット化して,衣服とユーザのインタラクションを適切にデザインすれば,ユーザに対して好ましい行動変容を促すことができると考えた.そこで,形態変化によってユーザに行動変容を促すRobotic Clothingを開発した.
A neural network model for generation of humanlike arm movements in human-product interaction
荻原 直道
東京大学 大学院理学系研究科 教授
自動車のステアリングやインパネなどの製品の操作性を評価するために,モックアップによる評価が行われているが,評価手法・測定精度など多くの課題を有している.本研究では,ヒトの上肢筋骨格モデルを仮想空間内で自律的に動作させ,製品モデルとインタラクションさせることで製品を評価する神経回路モデルの構築を試みた.
Feedback Mechanism for “Kidukai” Functionality in Human-Agent Collaboration
笹井 一人
茨城大学 大学院理工学研究科 准教授
人間とエージェントが協働してタスクを行う協調型問題解決をいかに支援するための機能として,対話における沈黙を検出して,ユーザを「気づかう」メッセージを発話するエージェントを提案する.人間の場合は機械とは異なり,励ましや自分のことを分かってくれることが,タスクの成否に大きく影響する,ということに着想を得ており,実験でも検証された.
Development of lensless imaging cytometry for long term observation of many cells
笹川 清隆
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授
レンズレス蛍光イメージングにおいて、イメージングサイトメトリを実現するため、色を識別するフィルタおよび光学系の構築を行った。また、提案するイメージングデバイスを用いた観察における空間分解能を改善するため、レーザースポットアレイの生成と走査および画像合成による手法の提案と実証を行った。
Decision Making Support Navigation System with Postoperative Complications and Five Year Survival Rate Estimation in Glioma Surgery
佐藤 生馬
公立はこだて未来大学 システム情報科学部 准教授
本研究では,脳腫瘍摘出術における後合併症発生確率と5年生存率予測による意思決定支援用ナビゲーションシステムの実現を最終目標とする.本提案システムでは,特に熟練の医師でも判断に迷うような症例を対象として,個人差のある脳機能局在を推定し,脳の構造などとともに提示するナビゲーションシステムにより意思決定支援可能とする.
Simple evaluation of color vision using simulated image of color appearance for anomalous trichromats
佐藤 敬子
香川大学 創造工学部 創造工学科 准教授
本課題では,色覚異常強度の多様性に着目し,弱度から強度までの多様な見えを表現する画像を用いて,異常強度をチェックする手法を提案する。これにより,種々の表示デバイスを用いて簡易に異常強度を測定できるだけでなく,個々の特性にあわせた効果的な色覚バリアフリーの実現が可能である。
Design of hierarchical-maestro controller of swarm robots motivated by the sheepdog system
末岡 裕一郎
大阪大学 大学院工学研究科 助教
本研究では,シープドッグシステムという「少数の犬による羊の群れの誘導」を参考に,人の操作性の高い群ロボットシステムの設計を目指して研究を行った.本研究成果として,人が群れのサイズと動きを操作できるコントローラを持つことができ,犬ロボットを介して群ロボットにアプローチできると分かった.
清家 美帆
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教
被験者のストレスと避難速度の相関を明らかにすることを目標として,実大トンネルを用いて被験者にはアイマスクをしてもらい,真っ暗な中での速度を計測し,かつ実験前後で被験者の血圧・心拍を計測した.その結果,実験前後で7割程度の被験者の心拍数あるいは血圧が上昇することがわかった.
Synthesis of Ru@Au nanosheet electrocatalyst toward werable device
滝本 大裕
信州大学 先鋭材料研究所 助教(特定雇用)
本研究では,センサ応用を目指した高活性かつ高耐久な電極触媒の開発を目指し,Ruコア@Auシェルナノシートを開発した。二通りのコアシェルナノシートの合成方法を検討し,ナノ粒子では達成できない高比表面積電極触媒の開発に成功した。本研究により,高精度でセンシング可能なデバイスに搭載する電極触媒として応用可能である。
On the acvibe noise and vibration control using biological signals
寺島 修
富山県立大学 大学院機械システム工学科 准教授
個々人に快適な振動騒音環境を提供する能動型制御技術の構築を目的に,振動騒音に曝された被験者の生体反応計測・振動モードの解析を行い,人が快/不快に感じる振動モードの抽出を,機械学習理論に基づく特徴量抽出技術により行った。その結果,不快に感じる振動の抽出が生体反応計測より可能であり,上記目的の達成可能性があることが明らかとなった。
Autonomous Interaction Robot System for Counseling Using Virtual Interpersonal Contact
中西 惇也
大阪大学 大学院基礎工学研究科 特任助教
本研究では、仮想的な対人接触を応用したカウンセリングを行う自律型対話ロボットシステムの研究開発を行った。心理カウンセリングとして、認知療法・認知行動療法に着目し、音声対話でカウンセリングができるシステムの構築に取り組んだ。性能評価を行い、実用性がある可能性を示した。
Development of brain-integrated AI recognizing human feeling
西田 知史
国立研究開発法人 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 主任研究員
美しさの評価や好き嫌いの判断といった人間の感性情報の認識に対する既存AIの性能を向上させるために、AIに脳情報を融合する新技術の開発を行った。本技術は、映像に対して人間が感じる感性情報を推定する問題において、既存AI技術を上回る性能を示したことから、人間の感性を理解するAIの実現につながる基盤技術となる可能性を秘めている。
Fundamental Study on Functional Electrical Stimuation for Swallowing using Multimodal Assessment method of Swallowing
橋本 卓弥
東京理科大学 工学部 機械工学科 講師
随意型の嚥下機能補助の実現を目指し,まず,機能的電気刺激(嚥下FES)を用いて嚥下における喉頭挙上運動を補助する際の効果的な刺激位置や刺激強度について基礎的な検討を行った.また,電気刺激のトリガーの決定に応用することを目的に,PVDFフィルムを用いたマルチモーダル嚥下機能評価システムによる喉頭挙上計測の可能性について検証した.
Super-Resolution of Sensor data using deep generative model towards applying activity recognition
長谷川 達人
福井大学 学術研究院 工学系部門 講師
本研究では,行動センシングにおけるサンプリング周波数の相違に焦点を当て,この違いに頑健な行動認識手法の開発を行った.深層学習を用いた敵対的訓練手法を提案し評価した.実験の結果,様々なサンプリング周波数で計測されたデータに対して,従来手法よりも高精度に行動認識が実現できることを明らかにした.
Development of intelligent robots to prevent isolation of elderly
VENTURE Gentiane
東京農工大学 大学院工学研究科 教授
大きな社会問題になっている高齢者の社会的・感情的な孤立を支援するための知能ロボットを提案する目的。高齢者の社会的・感情的孤立の問題を解決するために,高齢者の社会的能力を支援したり,動作能力を維持したり,リハビリに役立てたりするとともに,高齢者が受入れることのできる知能ロボットの開発。
Quantification of mind perception for robots by neural decoding from human brain activity
堀川 友慈
株式会社 国際電気通信基礎技術研究所 脳情報総合通信研究所 主任研究員
ヒトがロボットなどのエージェントにあたかも心があるかのように感じ交流することが可能な社会の実現に向け,相手にどの程度心があると感じるか(心の知覚量)を脳から評価する脳情報デコーディング技術の開発を行った.本研究は,脳から心の知覚量を予測することの実現可能性を示すとともに,外見より心の知覚量の違いをより強く表現する脳部位を明らかにした.
Development of Self-Healing Organic Semiconducting Polymers for Skin Electronics Applications
道信 剛志
東京工業大学 物質理工学院 准教授
有機半導体高分子を用いた次世代エレクトロニクスでは、柔らかさや生体適合性など無機半導体では実現できない応用が探索されている。本研究では、高性能な半導体主鎖骨格に水素結合部位を導入することにより、自己修復性を付与することに挑戦した。有機トランジスタ特性とのトレードオフを調査し、全体的な性能の最適化を目指した。
Expectation for an accident of endvascular intervention from single-plane X-ray image
森 浩二
山口大学 大学院創成科学研究科 准教授
血管内治療におけるX線画像からデバイスの3次元形状を推測する技術の開発を目指した。デバイス先端の位置に注目すると,血管の軸方向は約0.05mm,血管断面内における半径方向は約0.10mm,位相は約20.1度の精度で求められることを明らかにした。この手法を応用して事故が起こる直前のデバイス形状の特徴を調査できることが示唆された。
A Study on Multi Channel Tactile Stimulus Control by Optical Communication
吉元 俊輔
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 講師
本研究では,超多チャンネルなウェアラブル触覚インタフェースの実現を目指し,小型な電磁アクチュエータと受光駆動回路を開発し,プロジェクタ光による振動制御が可能であることを示した.さらに,多チャンネル化したデバイスを用いて掌上を移動する振動刺激による知覚を評価したところ,移動方向の表現が可能であることが示唆された.
Development of a new assessmet system for driving performace of the eldely
渡邊 龍憲
広島大学 大学院医系科学研究科 助教
高齢者の運転技能を的確に評価するシステムの開発に向けて、視覚情報を用いて発揮筋力を精確に調整する能力が加齢により低下する神経生理学的メカニズムを検証した。その結果、高齢者は、より精確な制御を行う際に、一次運動野と収縮筋の律動的な神経活動を増強する可能性が示された。

[研究助成(C)] 15件
Development of an Environmentally Conscious Thermoelectric Sensor Module for Application of Non-powered Invasive Sensor Devices
長江 祐樹
名古屋大学 大学院工学研究科 博士後期課程
高熱電性能指数(ZT)を実現するトレードオフ関係にある電気伝導率σおよび熱伝導率κを独立に制御のために、IV族半導体混晶おけるナノ構造の制御プロセスに着目し理論研究を実施した。本研究において、Siバルク中に形成されたSn結晶粒が、熱処理を経るにつれて、周囲のSi原子を取り込みながら、SiSn混晶化することを初めて示した。また形成されたSiSnナノ構造は安定構造であるzincblendeだけではなく、準安定構造であるL10構造を含むこと、また構造の違いによる電子状態および熱電性能の変化について詳細な解析を実施した。
Neural Representation of the Social Attention and its Application in Virtual Reality
吴 惠宁
大阪大学 大学院生命機能研究科 博士後期課程
本研究では、ヒトの視覚的注意が他者の視線方位の変化に対してどのように変調を受ける(社会的注意)のか、その神経基盤を調べる目的で、心理行動・脳機能イメージング研究を行った。結果、上前頭回を含む複数の脳領域が社会的注意に関与することを突き止めた。今後は、得られた知見を用いてバーチャルリアリティ技術を発展させるような応用研究に取り組みたい。
Gait training robot for trip prevention improving toe control ability
三宅 太文
早稲田大学 大学院創造理工学研究科 特別研究員
歩行時のつまずき回避に重要な最小つま先高さの制御能力向上を目的とし,つまずきを発生させるロボットとつまずきを回避するようにアシストするロボットの2つのロボットシステムを開発した.2種類の異なるロボットの介入方法を実践することで,機械が人間とどのように協調することで人間のつま先制御能力の向上を促せるのかを検証した.
A skin-attatchable, highly sensitive temperature sensor for wearable medical devices
奥谷 智裕
東京大学 大学院工学研究科 特任研究員
本研究では、フレキシブルで高感度な温度センサとして近年注目されているポリマーPTCサーミスタの高温時の特性安定性改善と極薄化について取り組んだ。
Derivation of the External Camera Placement and Development of Augmented Reality Visual Support System for High Efficiency Teleoperation of Heavy Machines -
佐藤 隆哉
早稲田大学 大学院創造理工学研究科 博士後期課程
災害時に使用される重機の遠隔操作は,平時における搭乗操作と比較して作業効率が半分以下に低下する.そこで,高効率な遠隔操作を実現するため,外部カメラの最適・好適配置を実験的に導出し,また,拡張現実を用いた視覚支援手法を構築した.スケールモデルおよび実機を用いた実験の結果,作業効率を向上できる可能性が示唆された.
Self Expanding Vehicular Cloud Compugin Platform
田谷 昭仁
青山学院大学 理工学部 助教
コネクテッドカーを活用して複数の車両が情報共有や大規模計算を行うVCC(Vehicular Cloud Computing)が期待されている.本研究では,高速通信が可能なミリ波通信でVCC基盤を構成する場合の課題として,より多くの車両がVCC基盤に参加する手法,および,VCC基盤内での通信効率を高める手法について取り組む.
Estimation of Hand Motion Based on Forearm Deformation by Measuring with a Distance Sensor Array
趙 崇貴
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 助教
前腕形状は、筋肉の活動および骨の変位に対応して連続的に変化するため、回内外動作のような深層筋の活動によって大きく骨の変位が生じる動作の推定に有効である。本研究では、前腕形状を計測可能なデバイスである距離センサアレイを開発し、計測された信号に基づいて、機械学習手法を用いることにより手の動作を関節角度レベルで推定する手法を提案した。
Clarification of the kinematics variables that determine “compatibility” in interpersonal motor coordination
向井 香瑛
早稲田大学 理工学術院 助教
本研究は、対人間運動協調の「相性」の良し悪しを決定する運動学的変数を調査することを目的として行われた。個人内の知覚運動協調課題を用い、周期的に動く視覚刺激に対して少し早く動く能力(リード能力)と少し遅れて動く能力(フォロー能力)を調べた。その結果、多くの実験参加者がフォロー能力の方がリード能力よりも高いことが明らかとなった。
Pereception of sound generated by self-movement
遠藤 希美
東京大学 大学院総合文化研究科
発話や楽器演奏、ボタン押しといった自身の運動に伴って生成される音(自己生成音)に対する知覚について検討した。具体的には、手指の細かな運動制御に伴う自己生成音知覚、歩行に伴う自己生成音知覚の2点に着目して実験を行った。いずれの実験でも安静時と比較して運動時に知覚の促進が示唆された。この成果は今後VR等の音情報呈示システムへの応用が期待される。
Development of somatic pain relief system using virtual reality based on central nervous and autonomic nerves
笠井 亮佑
兵庫県立大学 大学院応用情報科学研究科 博士後期課程
人間の脳及び自律神経活動の影響評価に基づいたVRを用いた体性痛緩和システムを開発することを目的に、VR映像を用いることで体性痛軽減を行うことが可能であるかを定量的に評価し、それに伴う脳中枢神経及び自律神経活動を抽出した。その結果、VR映像視聴による没入感覚及び快・不快情動ストレスは、体性痛の軽減に有用である可能性が示唆された。
Robot system design of bringing children closer to create interactions among them
東風上 奏絵
東京大学 大学院学際情報学府 博士課程
本研究では,ロボットが子どもと移動中に周囲の子どもに働きかけ,子ども同士の距離を近づけ交流を作る場面に着目し,ロボットに必要な働きかけ方を,子どもとの長期的なふれ合いを想定したシステムとして表現する方法を検討した.大学内での移動実験において,ロボットが移動中に過去の記憶を元に独り言を言う行動が,人同士の会話を生み出すことを観察した.
Quantitative evaluation of swallowing function by Engineering technology
田代 尚千恵
埼玉大学 大学院理工学研究科 博士後期課程
本研究では,エレクトレットコンデンサセンサ(ECS)を用いた嚥下音の定量的計測に対する有効性の確認を行った.嚥下計測実験は、健康成人女性1名が水10mlをコップから摂取した際の嚥下を計測し,この試行を5回繰り返したデータを解析した.結果はECSにより嚥下音を検出できることが確認できた.
Development of through-holed electrodes for lithium ion batteries by a laser and application to solid electrolytes
津田 喬史
神奈川大学 大学院工学研究科 博士後期課程
本研究はピコ秒パルスレーザーを用いてリチウムイオン二次電池用穴あき加工電極を作製し、穴あき電極を用いたLIB用電極の電気化学的性能向上について検討した。シミュレーション解析の結果から、穴が空いていない電極電池では高レート時、つまり高速放電反応中では放電容量が低下した一方で、穴あき加工電極を用いた電池は高レート下でも高い容量保持率を示した。
Verification for practical application in gait training system with audio-visual feedback function of ground reaction force
福山 慧
大分大学 大学院 博士後期課程
リハビリテーションにおける歩行訓練において,患側下肢の荷重の把握は,歩行能力の向上と再骨折等のリスク回避において重要である.そこで我々は,歩行中にディスプレイにてリアルタイムで荷重が把握できるシステムの開発を行っている.臨床試験を実施した結果,荷重を調整した歩行や左右対称性の歩行が,従来の訓練と比較し,改善を認めた例を報告する.
Emotion recognition using deep learning model with multi-media data
羅 兆傑
大阪大学 大学院基礎工学研究科 特任助教
厚生労働省は10年後の将来には日本の人口の4人に1人が高齢者と予想されている。本研究では、認知症高齢者の感情の認識率が低い現状を改善したいために、人間の力なしに機械が自動的に要介護者の音声と顔から特徴とするデータを抽出するDNNと畳みこみニューラルネットワーク(CNN)を用いて学習し、要介護者の顔検出と感情音声認識システムを開発する。