研究助成成果集 第28号

研究助成成果報告

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(年度順五十音順)


[研究助成(S)] 4件
Human-like robot that encourages people’s walking
神田 崇行
京都大学 大学院情報学研究科 教授
「人らしいロボット」によるウォーキング支援の研究を進めた。並んで一緒に歩く機能と、風景に基づいて会話する機能を実現した。これらを統合したシステムを実現し、高齢者による実証実験を行い、実現したロボットシステムの有効性を実証した。調査研究により社会的受容性に関する検討も進めた。
New Driver Assistance System for Driving Behavior Improvement based on Model Predictive Constraint Satifaction
鈴木 達也
名古屋大学 大学院工学研究科 教授
本研究では、知能を持った自動車とドライバとの新しい関係として、世界に先駆けて「指導員型の運転支援」を提案し、その有効性を検証した。提案する運転支援を通してドライバ自身が成長することを「人間と機械の融和」と捉え、シミュレータを用いて100名規模での実証実験を行い、有用性を検証した。また実車実装を通してその実現可能性を示した。
Development and verification of a blood drop early diagnostic system for mild cognitive impairment using the ion-sensitive biological array sensor
澤田 和明
豊橋技術科学大学 大学院 電気・電子情報工学系 教授
血液1滴・軽度認知障害超早期検出装置について、センサチップ上に5カ所のcDNAを固定化する方法の開発、3流路にて検出する技術の開発、そしてcDNA固定化磁気ビーズを用いる方法にて100nMの感度をもつマイクロRNA検出システムの構築に成功した。今後、更なる高感度化と自動化システムの構築を行っていく予定である。
Toward personalized treatment of tinnitus
高橋 宏知
東京大学 大学院情報理工学系研究科 准教授
臨床研究,基礎研究,システム開発を有機的に連携しながら,耳鳴のメカニズムの解明,さらには,耳鳴治療効果のメカニズムの解明を目指し,次世代耳鳴治療を探求した.本研究は,さまざまな耳鳴治療方法の有効性を科学的に裏付け,次世代の耳鳴治療戦略の策定に大きな影響を与え得ることを示した.

[研究助成(A)(B)] 32件
Model selection for predicton Visually Induced Motion Sickness and practical realization of prediction device
棚橋 重仁
新潟大学 大学院自然科学研究科 助教
映像を視聴する対象者の生体情報を組み込んだ人工ニューラルネットワークを用いることで映像酔い発症の予測モデルを確立する.
Development of a Micr-fabricated Olfactory Display
石塚 裕己
大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教
本研究では微細加工技術を応用した超小型香りディスプレイの開発を行った.まず,第一段階として微細加工技術によりマイクロヒータとマイクロバルブを集積した香りディスプレイを作製した.そして,その芳香特性をガスセンサによって評価した.その後,構造を応用した精密加工による香りディスプレイの試作も行った.
A Study about Navigation System for Visibility Impaired Persons with Virtual Braille Guidance Block and Wall
榎堀 優
名古屋大学 大学院情報科学研究科 助教
視覚障碍者の歩行誘導支援に向け、日常生活における既存知識である歩行誘導ブロックの利用感覚・触覚を再現・再利用することによる学習必要性の低いシステムの構築を目指した。結果、当初計画の感触再現手法は再現力に限界があり、刺激に対する感覚発現箇所の不明確さも散見されたことから、歩行誘導方法および刺激に対する感覚発現箇所の解明へ軌道を修正した。
Miniaturized near-infrared photodetector by electrical detection of SPR
菅 哲朗
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授
本研究提案では、シリコンMEMSカンチレバー上に形成した金回折格子を用いて、これまでにない小型な分光器の実現の実現に取り組んだ。金回折格子上で発生する表面プラズモン共鳴が持つ、シャープな共鳴を電流で検出する技術を利用したものである。今回、基礎的な近赤外分光技術を確立し、小型MEMS素子の試作を行い、分光への適用可能性を確認することができた。
Nanomembrane solar cell
久保 若奈
東京農工大学 大学院 准教授
総膜厚500 nm以下, 1平米あたりの総重量が0.8 g以下のナノメンブレン太陽電池を実現した。ナノメンブレンとは、ナノメートルオーダーの膜厚を自己支持的に保つ、強固でフレキシブルな薄膜である。ナノメンブレン上に有機薄膜太陽電池を形成した。
Development of Mettalic Micro-contaminant Detection System for Lithium Ion Battery
田中 三郎
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学系 教授
リチウムイオン電池など高性能2次電池におけるミクロンオーダーの極微小金属異物の混入が原因で火災となる事故が発生し、安全を脅かしている。本研究ではこれまで不可能であった電池用セパレータ(絶縁材)内金属異物を高精度(直径100ミクロン以下)で検出できる技術を検討しプロトタイプを試作した。
Engineering of physiologically functional neuron-wire connections
筒井 秀和
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授
神経細胞の活動計測は、神経系における機能発現の原理の本質に迫るために重要である。本研究では微小電極上にタンパク質を固定化する技術、シナプス形成因子を固定化しシナプス前部を選択的に誘導する技術の確立を行い、新しい計測原理の基礎とすることができた。さらに研究の過程で、蛍光タンパクの電圧制御の現象を見出し、その原理を用いた微小ディスプレイを樹立した。
Autonomous and Substantial User Interfaces based on Animacy Perception
橋田 朋子
早稲田大学 基幹理工学部表現工学科 准教授
本研究は情報に実体を与え直接手で触って操作できる入力や出力のインタフェースでありながら機械の動きに自律性を持たせることで,人がアニマシー(生物らしさ)を想起しやすくなる新たなTUIを実現するものである.自律的な動きとして特に相互作用・不規則性・重力に抗する動きといった要素を満たすプロトタイプシステムを試作した.
Deep Neural Network for Co-occurence Learning of Image and Non-image Data
日髙 章理
東京電機大学 理工学部 准教授
本研究では,第一に特徴ベクトルの配列変換に基づく非画像データに対する畳み込みニューラルネットワークの開発を行った.第二に,動画中で共起する画像情報と音声情報を既存の深層学習手法によって低工数で取り出し,それらを他の深層学習タスクに利用するための半自動的データ作成手法の開発と評価を行った.
Safe, Secure and Reliable Recommendation Model Considering Cross-organization Privacy Preservation
本多 克宏
大阪府立大学 学院工学研究科 教授
プライバシー保護を考慮した組織協調型の安心・安全なコンテンツ推薦モデルの構築を目的に,関係性データの暗号化・匿名化に基づく情報縮約手法を提案した.ユーザ×料理と料理×材料のような3モードの関係性データからユーザ×材料といった潜在的な嗜好関係をモデル化することにより,高精度な推薦を実現する情報活用法を構築した.
Developmental Mechanism of VR sickness and Physical Influence of VR Viewing on human body
松浦 康之
岐阜市立女子短期大学 国際文化学科 講師
VR映像視聴時の周辺視が、生体に与える影響は殆ど検討されていない。そこで、本研究ではヘッドマウントディスプレイを用いたVR視聴において、視野領域のサイズの違いが生体に与える影響について研究を行った。その結果、VR映像視聴時の周辺視によって、脳内の伝達経路あるいは、活性部位の変化などが見られた。
Platform of molecular measurement by nano-lithography and single-molecule protein patterning
横川 隆司
京都大学 大学院工学研究科 准教授
本研究では、細胞内の物質輸送や細胞分裂を司るモータタンパク質の協働的な運動機能を理解するための、分子計測プラットフォームをマイクロ・ナノ加工技術により製作した。モータタンパク質を個別に固定することでその分子数や分子間距離を規定する技術を確立した。これにより、モータタンパク質の種類によって運動機能が異なることを明らかにした。
Development of a Control Method for Transfemoral Prosthetic Knees with Prediction of Gait
井上 恒
香川大学 創造工学部 講師
身体運動の特性に則って,少数かつ安価なセンサによる多機能な膝継手(義足膝関節)の制御手法開発を目的とした.歩行動作の検討とルールベース制御則の提案により,制御則を実装した試作機で平地歩行と階段昇段を実現した.歩行データベースを用いた制御則の評価では動作の予測(検出)精度は高く,提案制御則の有効性が示唆された.
Development of stable running method of humanoid robot based on humans angular momentum compensation
大谷 拓也
早稲田大学 理工学総合研究所 次席研究員(研究員講師)
本研究では実際の人間型ロボットにおいても有効な,人間の走行時の角運動量補償メカニズムに基づく上半身運動制御手法を開発した.脚が発生する角運動量を算出し,これを相殺する角運動量を発生する体幹・腕運動制御法を構築した.動力学シミュレーションを用いて,提案手法により空中にて腰部姿勢を安定化させられることを確認した.
Development of AR endoscopic navigation support system supporting doctors cognitive ability
大西 克彦
大阪電気通信大学 総合情報学部 准教授
本研究では,安全かつ正確に脳内の腫瘍を摘出するための内視鏡下手術支援システムを構築することを目的とする.そのために内視鏡カメラ画像に腫瘍を含む患部の3Dモデルを重畳表示するシステムを検討する.本課題ではシステム実現に必要な内視鏡カメラの位置姿勢計測手法について検討し,試作システムによる評価の結果を報告する.
Research on legal issues regarding with the fusion of human body and machine
小名木 明宏
北海道大学 大学院 法学研究科 教授
人間の身体の一部が機械化され、日常生活を不自由なく過ごすことができるようになったことが決して珍しくない現在、人体と機械の融合に伴う法律問題を新たな視点で見直すことが必要となってきた。科学技術の進歩の問題とそれに対応する法律解釈の問題である。「事実の問題」と「規範の問題」、この2つの視点を勘案しながら、人体と機械の調和的利用を如何に実現するかという現実問題としての妥協点を探るものである。
Optimization of illusory force sensation induced by assymetric vibration
梶本 裕之
電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 教授
DCモータを振動子として用いた偏加速度振動による疑似力覚提示において,多数の波形の比較を行い, 60Hzの矩形波が最も効率よく鮮明な力覚を生起出来ることを明らかにした.一方でバーチャルリアリティ応用を念頭においた疑似力覚によるリアリティの向上に関しては大きな効果は得られないことがわかった.
Biomimetic Knee Joint for Shear Stress Free Power Assist Suit
菊池 武士
大分大学 理工学部 教授
本研究ではBiomimetic Knee Joint(BKJ)を用いたパッシブ型アシスト装置を新たに開発した.また,Shear-force Sensitive Sheet(SSS)の評価モデルを確立すべく,その標準試験装置を開発し,せん断方向の力,ずれ量を,引っかき痕の画像特徴量から求める方法を提案した.
Development of fundamental technology for secure AI/IoT hardware platform
衣川 昌宏
仙台高等専門学校 総合工学科 助教
AI/IoT技術は、広く個人から社会に至る情報最適化を目指した自動社会制御システムであり、高い安全性が要求される。しかし情報セキュリティ面では、Root of Trust(信頼性の起点)である電子回路に脆弱性が指摘されている。そこで本課題では、電磁波セキュリティの視点から、危険性の高い非侵襲攻撃も視野に入れたAI/IoTハードウェアセキュリティの基礎対策技術を開拓した。
Cell adhesion measurement in microchannel device by ultrasonic vibration
倉科 佑太
東京工業大学 物質理工学院 助教
体内の大部分の細胞は成長・分裂するために接着する必要がある.このため,増殖や分化などの細胞特性は接着性と極めて密接に関係している.細胞の接着力を測定することは細胞の機能を評価する上で極めて重要である.しかし,効果的な測定方法は確立していない.本研究では,細胞接着力を測定する新たな方法として超音波振動による測定システムを確立した.
Storytelling robots for child-care support
塩見 昌裕
株式会社国際電気通信基礎技術研究所 知能ロボティクス研究所 室長
本研究では,人とロボットが協力して保育を行う未来の実現に向けた第一歩として,楽しく読み聞かせを行うロボットに関する研究開発を進めた.具体的には,読み聞かせを行うロボットのための自然な視線動作制御技術を確立し,複数台ロボットが連携して「皆で楽しく聞いている状態」を作り出す読み聞かせロボットシステムの開発を進め,その有効性を検証した.
Mathematical model of affective biological motion
田辺 弘子(山本 弘子)
青山学院大学 理工学部 助教
成人女性の歩行時のキネマティクスデータを用いて、歩行運動の美醜に関わる特徴量の抽出を行った。教師あり主成分分析によって、下肢・体幹・上肢の複数の関節運動が美歩行運動の特徴量として抽出された。さらにラバン特徴量のモデル化および算出により、美歩行運動の特徴量は女性の臀部と胸部の動きを強調する機能があることも明らかとなった。
Vessel Dissection Simulation for Neurosurgery Simulators Considering Subarachnoid Space Structure
陳 暁帥
弘前大学 理工学部 助教
先行研究では脳神経外科手術シミュレータの血管鈍的破壊モデルやくも膜モデルが報告されたが,くも膜下腔を考慮したモデルは報告されていない.本研究では,血管保存の条件を明確にするために,くも膜下腔の構造を考慮した簡単なモデルを用いて血管温存シミュレーションを行った.また,血管温存シミュレーションのために,血管の破壊モデルを提案した.
Extraction of motor intention toward human augmentation using brain-body-machine interfaces
南部 功夫
長岡技術科学大学 大学院 技学研究院 准教授
本研究では、ヒトの脳活動や筋活動から運動意図を推定するブレイン・ボディ・マシン・インターフェースの構築を目指し、その基礎検討として脳波や筋活動を用いた運動意図の予測ができるかを検討した。要求される終端精度が異なる腕の到達運動実験データにて検討した結果、精度を脳波から事前に予測できる可能性を示唆した。
Implantable generator converting glucose into electrical energy via muscle
土方 亘
東京工業大学 工学院機械系 准教授
ペースメーカーなどの体内埋込型医療機器では,定期的な電池交換外科手術が患者の負担となっている.そこで本研究では,電気刺激による骨格筋収縮を介して,体内グルコースを電力に変換する体内発電システムを開発した.特に,骨格筋収縮モデルを用いた最適刺激信号の算出と,電磁誘導および静電誘導を利用した体内発電機構を開発した.
Specialized somatosensory-motor integration function in expert pianists
平野 雅人
上智大学 特別研究員
本研究は,手指の高度な運動能力を有するピアニストと一般健常成人を比較することで,感覚運動統合機能の可塑性及びその機能的意義を明らかにすることを目的とした.電気生理学的手法と工学的手法を組み合わせた新規計測手法を用い,ピアニストは感覚運動統合機能に可塑的変化が生じており,それはピアニストの高度な運動能力をサポートしていることが明らかとなった.
Two-photon coherence tomography
平松 光太郎
東京大学 大学院 理学系研究科 助教
本研究では、光周波数コムを光源として用いる干渉分光測定による3次元計測法を開発した。また、干渉分光法を用いることで2光子励起スペクトルとラマンスペクトルの高速同時測定が可能であることを実証し、マイクロ粒子解析へと応用した。本手法によって蛍光・ラマン分光情報を同時に取得する大規模一細胞解析が可能になると期待される。
Fabrication of transparent and strechable thermal sensing device
廣谷 潤
名古屋大学 助教
本研究では透明で伸縮可能なウエアラブル熱計測デバイスの実現に向けて、熱計測手法の構築と伸縮可能な基板上のカーボンナノチューブの電気的特性評価を行った。まず、構築した熱計測手法の有効性を標準サンプルで検証した結果、誤差約20%程度で熱物性計測が可能であることを確認した。また引張試験下でも電気的特性がほとんど変化しないデバイス構造を模索した。
Behavior design for keeping the same identity for an agent that works in different medium
松村 礼央
株式会社 karakuri products 代表取締役
本研究では,物理的身体を持つリアルエージェントとしてのロボットとアプリ内で活動するバーチャルエージェント。この2つの異なるメディア間を行き来して動作する商用サービス向けエージェントを対象に、その対話相手である人間がそれらの身体動作から、個の同一性を感じるために必要なエージェントの身体動作制御技術について開発・評価を行った.
Study on waveguide integrated terahertz phase shifters and its application to beam steering
門内 靖明
慶應義塾大学 理工学研究科 専任講師
電波と光波の境界であるテラヘルツ波のビームを自在に走査するための要素技術として、導波型移相器の提案および実証を行った。具体的には、テラヘルツ帯において屈折率可変作用を有する液晶分子を含む伝送線路を構成し、電圧印加による位相シフトの生成を確認した。またその際、電圧値によって位相シフト方向が反転する新たな現象を見出した。
Construction of Medical Human Motion Model using Motion Capture and Task Ontology
谷川原 綾子
北海道科学大学 保健医療学部診療放射線学科 講師
医療安全や医療技術の向上を目指して、コツなどの暗黙的な知識を反映した医療身体動作モデルを構築試みた。モーションキャプチャーから得られた関節運動をタスクにと紐づけることで、暗黙的な知識を表現できる可能性が示唆され、さらに、タスクオントロジーに全身の関節運動を加えた医療身体動作モデルを構築することで、タスク間の共通動作や差異が示された。
Development and test inplementation of all-in-one measurement booth for automated blood pressure: ABP@every
谷田部 緑
東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科 講師
近年、不正確かつ白衣効果の影響を受ける診察室血圧にかわり、家庭血圧や自動測定血圧(ABP)を目安に高血圧治療を行うべきとされている。本研究では、ABPを測定し、デジタルデータとして二次利用しやすく保管しうる設置型ブースを開発した。このブースを利用して、オンライン診療により高血圧治療を受けることもできるため、血圧管理率の向上が期待される。

[研究助成(C)] 9件
Study of Reliability Evaluation of 3D Integration Technology for Body-implantable Devices
菅原 陽平
東北大学 大学院 工学研究科
体内埋め込み型デバイス用の高信頼三次元集積回路(3D ICの実現を目的とし,裏面ビアラストプロセスにおけるビアホール形成時のプラズマチャージアップダメージおよびTSV側壁絶縁膜からの電子ノイズのTSV深さ依存性を評価した。また,アナログ・デジタル積層混載3D ICの試作及び評価を行い,体内埋め込み型生体用ICのノイズ低減を実証した。
Development of control method for self-equilibrium forcesin musculoskeletal structures based on H∞ optimality
増田 容一
大阪大学 大学院 工学研究科 助教
本研究では,筋骨格構造における非荷重時の筋力を決定するための制御系設計法を開発した.筋力の決定には, H∞最適性に基づく目的関数を設定し,その妥当性を解析的・数値的に検証した.さらに,筋数の増加に伴う計算時間の増大や筋の故障に対応すべく,分散型適応制御則の設計法を確立した.
Development of ultra-high-precision ultrasound evaluation by scatterer structure analysis in a living body
田村 和輝
浜松医科大学 助教
本研究では,次世代の超音波診断装置として近年使われつつある高周波超音波計測を対象に,病変進行によるエコー信号の差異を定量検出するための手法を提案した.また,エコーデータを大量に取得することが困難な希少疾患に対応するために,エコー計測で算出される後方散乱係数を病理スライド1枚から推定する手法と理論モデルを提案し,比較検討した.
Achieving Healthy and Quality Life of One-person Households Using IoT and Machine Learning
鈕 龍
株式会社ACCESS IoT事業部ソリューション開発第1部
現在,世界的に単身世帯が増加傾向しており,多くの先進国では超単身化が進んでいる.日本では厚生労働省は2030年に3件のうち1つが単身世帯になるという予想を発表した.そこで本研究では,独居者が健康的な生活を維持しにくいという現実に焦点をあて,屋内位置と環境センシング及び機械学習を活用して,独居者の生活質を維持・向上するシステムの開発を行った.
Visualization of the effect of hand treatment:Investigation by optical measurement of brain and peripheral muscle activities
松田 康宏
明治大学 大学院 理工学研究科 博士後期課程
手技療法の効果の評価は患者あるいは術者の主観に依らざるを得ず,定量化されたエビデンスに基づく治療法の決定や体系化が求められている.本研究は新しい生体光計測技術を用いた脳と末梢筋の血流計測から,中枢-末梢連関を明らかにし,患者一人一人の健康増進に最適な「手当て」を科学的根拠に基づいて提供できる治療評価システムの構築を目指した.
The factor inducing kinesthetic illusion is identified using the Movable Mirror Box
石原 由貴
名古屋市立大学 大学院 芸術工学研究科 博士後期課程
可動式ミラーボックスを用いて視覚的なイメージが引き起こす移動感覚の誘発要因を調査した.特に「手のイメージの想起性」に着目した実験では,手の提示が無くとも,鏡面裏側の手が握る持ち手と同じ持ち手が視覚的に移動することで,裏側の手の移動感覚の誘起された.このことは,移動感覚の誘発に関し身体イメージの想起性が重要であることを示唆している.
Modified Projection of Synthesized Households on Buildings for Real-Scale Social Simulation
原田 拓弥
青山学院大学 理工学部 助教
シミュレーションを社会科学へ応用した社会シミュレーションでは,モデルの粒度を現実に近づけるほど,現実の個人の属性の活用が望まれるが,これらは利活用が困難であるため,統計表と整合する集団を合成する研究がされている.本課題では,合成された集団を地図へ割り当て時に街区毎の統計表を考慮することで,一軒家や共同住宅などの街区の特徴を反映できた.
Fabrication of solid electrolyte supported all-solid-state thin film batteriesfor direct observation of electronic structure changes
引間 和浩
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 助教
全固体電池用の反応解析手法開発に向けて,固体電解質支持型全固体薄膜電池を新たに設計・作製し,定電流充放電試験を行った.集電体,正極薄膜の合成条件を最適化することで,積層型全固体電池と同様,初期数サイクルまでの間に放電容量が増加し,高いサイクル安定性を示した.様々な解析に応用可能な,固体電解質支持型全固体電池の構築に成功した.
A Study on A Tactile Sensor based on Field Effect Transistor Using An Ionic Gel Insulator
山田 駿介
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 次席研究員
本研究では,イオン液体が形成する電気二重層をゲート絶縁層に用いることで,タクタイルセンサの高感度化と低電圧駆動を実現した。作製したデバイスは圧力1〜7 kPaの範囲において,世界最高感度2,235 kPa-1を示した。さらに,駆動電圧を従来の1/10程度である,10V以下にでき,本研究の有効性を示すことができた。