第7回 立石賞 表彰式・記念講演の参加受付を開始しています

第7回 立石賞 表彰式・記念講演を下記日程にて開催いたします。 参加申し込みは下記のページから受け付けています。 https://tateisiprize.org/ 1.日時:2022年5月25日(水) 14:00 ~ 2.場所:ザ・プリンス 京都宝ヶ池 ライブ配信あり  京都府京都市左京区岩倉幡枝町1092-2  地下鉄烏丸線「国際会館駅」よりホテルまで徒歩7分(4-2出口より徒歩3分)  https://www.princehotels.co.jp/kyoto/ 3.会場での参加・ライブ配信いずれも参加費 無料 第7回立石賞受賞者決定のお知らせはこちらを参照ください。 https://www.tateisi-f.org/news/2022-03-22

2022年度助成金贈呈対象決定のお知らせ

2022年度の助成対象が、選考委員会による厳正な審査と理事会を経て決定しましたのでお知らせいたします。本年度は、研究に対する助成として47テーマを選定・決定いたしました。助成対象(助成者と助成課題)については、次頁以降をご参照ください。また、助成対象を代表して、2022年度研究助成(S)の概要を抄録として抜粋しています。なお、贈呈式は、5月25日(水)にザ・プリンス 京都宝ヶ池にて開催します。贈呈式の参加は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、研究プログラム別代表者と財団関係者とし、助成金受領者はウェビナーにて参加します。 研究助成(S) 研究助成(A) 研究助成(B) 研究助成(C) おもな研究助成の抄録 ■今回および累積の助成金額   研究助成 件数・額 国際交流助成 件数・額 合計 件数・額 今回(2022年度) 47件 1億5,569万円 (前期のみ)   0件 (前期のみ)  0万円 47件 1億5,569万円 累積(1990年度~2022年度)   (立石賞17件を除く) 935件 26億1,826万円 540件 2億6,706万円 1,475件 28億8,532万円 今回助成される皆様には是非とも研究課題を達成していただき、最先端の科学技術でグローバル社会に貢献していただくこと、そしてさらにはこれらの中から、将来の立石賞受賞者が輩出されることを期待します。 2022年度 研究助成 受領者および研究課題一覧 【研究助成(S)】 最大3,000万円(間接経費含む)/3年を助成 研究期間:2022年4月~2025年3月 No 代表者氏名 所属・職名 研究課題 1 桂 誠一郎 慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授 運動と知覚の時空間拡張に基づく手づたえ教示システムの開発 申請件数:9件、採択件数:1件  助成金額 30,000千円 Topへ 【研究助成(A)】 最大250万円(直接経費)を助成 研究期間:2022年4月~2023年3月 No 氏名 所属・職名 研究課題 1 秋口 俊輔 富山高等専門学校 電子情報工学科 准教授 血流イメージングを用いたディープラーニングによる皮膚癌最初期診断支援 2 飯島 涼 早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 助手 生体電位を用いたウェアラブルデバイス向け動作認証方式の開発 3 石田 和也 一般社団法人テレメディーズ 医師 IoTデータと尿中Na/K比に基づいた心不全再発予防サービスによるPPKの実現 4 石田 祥一 横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 特任助教 複合現実を用いた化学反応ネットワーク向けユーザーインターフェースの開発 5 石綿 整 量子科学技術研究開発機構 主任研究員 ダイヤモンドスピン偏極増幅器による人体分子MRIの実現 6 今城 哉裕 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 ポスト・ドクター ケロイドの予防に資する複数方向の機械振動による細胞遊走の抑制 7 内海 ゆづ子 大阪公立大学 大学院情報学研究科 講師 ブドウ栽培作業者育成のための支援システムの開発 8 大西 章也 香川高等専門学校 電子システム工学科 講師 高齢者の興味を引くコミュニケーションロボットの開発 9 金山 範明 産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 研究員 バーチャルリアリティ空間における脅威刺激認知の脳波による定量評価 10 川口 一画 筑波大学 システム情報系 助教 物理的実体とCG表現を融合させたMRロボットの開発 11 木村 剛英 つくば国際大学 医療保健学部 理学療法学科 助教 深層学習を用い、二重課題干渉を指標とした転倒リスクを予測するシステムの開発 12 小島 拓也 東京大学 大学院情報理工学系研究科 助教 視覚特性を考慮した新計算原理に基づく高効率コンピュータの創生 13 齋藤 佑樹 東京大学 大学院情報理工学系研究科 特任助教 連合学習に基づく多話者音声変換のユーザ参加型学習 14 佐渡 夏紀 筑波大学 体育系 助教 体医工融合による動作学習支援システム確立を見据えた跳動作の個別最適値の間接的評価 15 佐藤 貴紀 秋田工業高等専門学校 電気・電子・情報系 助教 ワイヤメッシュ回路と深層学習の融合によるシート型触覚インターフェースの開発 16 繁富(栗林)香織 北海道大学 高等教育推進機構 特任准教授 折紙工学技術を用いた細胞の3D立体構造の構築 17 姜 銀来 電気通信大学 脳・医工学研究センター 准教授 最適刺激位置を追従するRobotic FESの開発 18 徐 嘉楽 和歌山工業高等専門学校 知能機械工学科 助教 PDMSバイアスバネおよび形状記憶合金厚膜を用いた触覚ディスプレイの開発 19 竹内 雄一 北海道大学 大学院薬学研究院 准教授 経頭蓋集束超音波刺激によるてんかん発作のオンデマンド制御 20 田辺 健 産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 研究員 視覚障害者の白杖操作のためのセルフ訓練デバイスの開発 21 中島 彩奈 長野工業高等専門学校 工学科 助教 エッジAIデバイスを用いた監視システム実現のための行動分類 22 原田 祐希 熊本大学 大学院先導機構 特任助教 匂い情報空間の構築、分子科学と機械学習の融合による挑戦 23 平井 健士 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教 車車間・歩車間無線通信における非直交多元接続を可能にする自己組織型制御の研究開発 24 平井 義和 京都大学 大学院工学研究科 講師 生体外ヒト疾患モデルの高い再現性を実現する細胞バリア機能計測技術の開発 25 藤原 幸一 名古屋大学 大学院工学研究科 准教授 擬似心拍フィードバックを用いた運転者の焦燥感低減技術の開発 26 船水 章大 東京大学 定量生命科学研究所 講師 意図を読み取る基盤技術開発 27 星 裕介 東京都市大学 理工学部電気電子通信工学科 准教授 原子層ヘテロ構造共振器を利用した超高感度嗅覚センサーの開発 28 本間 康弘 順天堂大学 大学院医学研究科整形外科 講師 音響工学を応用した人工股関節挿入手技支援デバイスの開発 29 松原 輝彦 慶應義塾大学 理工学部生命情報学科 准教授 非接触・非侵襲で病原体を回収するシステムの開発 30 村松 久圭 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教 シームレスに精密動作と安全動作が切り替わる協働ロボットの運動制御研究 31 元垣内 敦司 三重大学 大学院工学研究科 准教授 プラズモニックメタ表面による偏光制御素子の作製と眼底検査用偏光OCTへの応用 申請件数:109件、採択件数:31件  助成金額 81,096千円 Topへ   【研究助成(B)】 最大500万円(直接経費)を助成 研究期間:2022年4月~2024年3月 No 氏名 所属・職名 研究課題 1 小谷 潔 東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 デジタルツインを活用し脳と直接繋がるスマートホーム 2 杉本 晃一 千葉大学 大学院工学研究院 特任教授 流体力学・機械学習を応用したPICUでの血行動態不安定化予測と突然の心停止の予防 3 中村 裕美 東京大学 大学院情報学環 特任准教授 和菓子ITアーカイブと利活用:質感・外観の記録復元技術の構築と新規和菓子創成支援 4 藤田 克彦 九州大学 先導物質化学研究所 准教授 生体内デバイスのための超フレキシブル電力伝送装置開発 5 八木 直美 兵庫県立大学 先端医療工学研究所 准教授 歌唱による嚥下機能保持・向上のための人工知能と脳科学の融合システム基盤の開発 申請件数:28件、採択件数:5件  助成金額 30,155千円 Topへ 【研究助成(C)】 博士後期課程の学生に年間50万円(直接経費)を助成 研究期間:2022年4月~(最大3年間) No 氏名 所属・職名 研究課題 1 石坂 勇毅 千葉大学 大学院融合理工学府 博士後期課程 内耳保護機能の強化に向けたオリーブ蝸牛束反射の予測的制御メカニズムの解明 2 WANG YIWEI 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 博士後期課程 身体動作と感情の再現を目指すヒューマノイドロボットの開発 3 荻尾 優吾 大阪大学 大学院工学研究科 博士後期課程 不確実複雑システムの制御設計の見通しを向上させる設計モデルの構築 4 菅野 翔一朗 東京工業大学 大学院工学院機械系 博士後期課程 カーボンナノチューブを利用した電気シナプス型電極による神経インタフェースの実現 5 桑原 嵩幸 関西医科大学 大学院医学研究科 博士後期課程 片麻痺歩行に対する足関節ロボット治療における適応者および非適応者の特徴分析 6 須崎 太久弥 北海道大学 大学院情報科学院 博士後期課程 ポストコロナ時代における商業・公共施設のための空間管理システムの基盤構築 7 高橋 優太 埼玉医科大学 大学院医学研究科 博士後期課程 脳下垂体腺腫の摘出手術のための三次元誘導技術の開発 8 田中 太一 長岡技術科学大学 大学院工学研究科 5年一貫制博士課程 筋電波形を用いた腕の動きに同調するパワーアシスト 9 中村 統 東京大学 大学院総合文化研究科 博士後期課程 熟練者の注視方略から読み解く「経験」の定量化 10 古川 大晃 東京大学 大学院総合文化研究科 博士後期課程 対人間同期が走パフォーマンスに及ぼす影響の解明 申請件数:19件、採択件数:10件  助成金額 14,436千円 Topへ おもな研究助成の抄録 研究助成(S) 代表者氏名 桂 誠一郎 所属・役職 慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授 分野 生活・健康 生産 研究課題名 運動と知覚の時空間拡張に基づく手づたえ教示システムの開発 研究概要 「モーションコピーシステム」の発明により、人類はその動作全てを記録し、ロボットにより自動再現することに成功した。我が国は少子高齢化が進んでおり、熟練技能の伝承や、リハビリ・医用応用など、人から人へ動作を伝える手づたえ教示の必要性が高まっている。この問題の解決のためには、従来の「モーションコピーシステム」による動作再現をロボットから人間に対して拡張する必要がある。 本研究は人間の知能と技能を「脳-身体モデル」として抽象化することで、革新的な「ヒューマンコピー」を実現する。これにより、個人個人に適した動作解析、予測、適応、さらにはロボットを用いた支援へつながる「人間と機械の融和スパイラル」を形成できる。 Topへ

2022年度後期国際交流および国際会議開催助成の公募を開始します

2022年度 後期国際交流助成および国際会議開催助成を下記の要領にて公募いたします 公募期間  :2022年4月1日~6月30日応募方法  :指定書類による電子申請、誓約書・承諾書は押印後郵送助成対象期間:後期国際交流助成 2022年10月1日から2023年3月31日 日本出発        国際会議開催助成 2022年10月1日から2023年9月30日 助成の決定 :2022年9月下旬を予定 公募の概要・募集要項は、2022年度国際交流助成(後期)公募のご案内および募集要項、2022年度国際会議開催助成公募のご案内および募集要項を参照ください。申請書類は、各募集要項のページからダウンロードできます。国際交流助成(後期)公募 国際交流助成募集要項国際会議開催助成公募 国際会議開催助成募集要項

第7回立石賞受賞者決定のお知らせ

第7回(2022年度)立石賞の受賞者が、当財団選考委員会および理事会にて、以下のとおり決定しました。立石賞は、2010年の立石科学技術振興財団設立20周年を記念して創設した顕彰事業です。顕彰の対象は、エレクトロニクスおよび情報工学の分野で、人間と機械の調和を促進し、技術革新と人間重視の視点において、研究活動を発展させ、その成果を世のため人のために有効なレベルまで高め、社会に認知され、多くの人に享受されると期待できる状態をもって「顕著な業績」として、それを実現した研究者個人としています。賞の授与を隔年で実施しており、今年が第7回目となります。立石賞は功績賞と特別賞の2つで構成しています。功績賞は、過去に財団から研究助成を受け、その後の研究活動において顕著な業績をあげた研究者に対して授与する賞です。また、特別賞は、財団の趣意に沿った日本発の研究・技術開発において顕著な業績を上げた研究者に対して授与する賞です。各賞に対し、賞状、賞碑および賞金(500万円)をもって顕彰します。 ■第7回(2022年度)立石賞受賞者 功績賞     氏名 中村 仁彦(なかむら よしひこ)氏 所属機関・職位 東京大学 大学院工学系研究科 上席研究員・名誉教授 授賞表題 人間と機械の自然な相互作用の情報理論構築とその応用 URL http://roboticsynl.com/hmds/http://roboticsynl.com/nakamura/ 授賞理由と受賞者プロフィールへ 特別賞     氏名 合原 一幸(あいはら かずゆき)氏 所属機関・職位 東京大学 特別教授・名誉教授 授賞表題 数理情報工学に基づく複雑系数理モデル学の構築とその応用に関する研究 URL https://www.sat.t.u-tokyo.ac.jp/aiharalab/http://www.sat.t.u-tokyo.ac.jp/moonshot/ 授賞理由と受賞者プロフィールへ ■表彰式および記念講演について 表彰式ならびに受賞記念講演を以下のとおり開催します。参加・聴講申込方法などは、4月中旬に当ホームページ等でお知らせします。 日 時 :5月25日(水) 15:00 ~17:00場 所 :ザ・プリンス 京都宝ヶ池(京都市左京区宝ヶ池)開催方法:会場参加 / オンライン配信 ■授賞理由と受賞者プロフィール 第7回(2022年度)立石賞 功績賞 受賞者 東京大学 大学院工学系研究科 上席研究員・名誉教授 中村 仁彦 氏 授賞表題:人間と機械の自然な相互作用の情報理論構築とその応用 受賞者の業績受賞者は、大自由度系のロボットの運動計算、制御理論の基礎研究から出発し、人間の大自由度筋骨格系の力学モデルとその計算法を確立した。これに基づき人対人の行動理解のしくみを、自己の運動制御と他者の運動理解を行う同一の双方向計算機構としてモデル化し、運動認識と記号化によるコミュニケーション理論を提唱した。さらにヒューマノイドロボットが人間の行動を記号的・言語的に理解して動作する実証研究によって、人間と機械の自然なコミュニケーションが成立する未来社会を予見させ、人間と機械の調和に向け大きく貢献した。受賞者が開発したリアルタイム筋張力推定システムは、通常の運動解析に加えて筋張力・筋活性度の解析を可能し、幅広い分野で適用されている。2018年には、特殊なマーカーや専用の服装を用いることなく、画像情報からリアルタイムで関節角度を推定するとともに、筋骨格運動や筋力を推定するAIモーションキャプチャーシステムを開発した。これらの研究開発技術は、ヘルスケアやスポーツ科学や高齢者の見守りなどに応用が広がろうとしている。2001年、2002年に連続受賞したKing-Sun Fu Memorial Best Transactions Paper Awardはロボティクスで最も重要な学術雑誌 IEEE Transactions of Robotics and Automationの年間最優秀論文1編に送られる賞であり、2年連続の受賞は受賞者のみである。なお受賞者は、1992年に当財団から「人間と機械の知的コミュニケーションに関する研究 多指ロボットハンドの知能化を具体例として」の課題で助成を受け、その成果が本研究活動の端緒となった。 専門技術の概要・説明(1)人間と機械の自然な相互作用実現に向けたロボットの運動制御の基礎計算理論大自由度ロボットの冗長性の利用に関して、運動分解の一般問題として優先度付きの複数のタスクという概念を世界で初めて導入した。この成果はヒューマノイドロボットなどの大自由度ロボットの制御のための基礎技術として広く利用されている。(2)人間とヒューマノイドロボットのコミュニケーション理論自己の運動制御と他者の運動理解の双方向の情報処理を行う単一の計算機構を提唱し、ヒューマノイドロボットに実装した。この成果に基づいて運動記号と言語と結ぶ人間と機械のコミュニケーション理論を構築した。これらの成果は器械体操の自動採点システムや人間の行動の自動言語記録に応用されている。(3)人間の筋骨格計算モデルとその応用モーションキャプチャで得た運動から骨格の動力学計算を経て、筋活動をリアルタイム計算する技術、複数台のカメラ映像から全身運動の3次元再構成を行う技術を開発した。モーションキャプチャと運動解析をだれもが利用できるようにして身体や運動に関するリテラシーを高め健康社会を開く基盤を構築した。 学歴   1977年3月1982年3月1985年9月 京都大学工学部精密機械工学科 卒業京都大学大学院工学研究科博士課程 単位取得退学京都大学工学博士 職歴   1982年4月1987年9月1990年9月1991年4月1997年2月2001年4月2020年6月 京都大学工学部オートメーション研究施設 助手カリフォルニア大学サンタバーバラ校 助教授カリフォルニア大学サンタバーバラ校 准教授東京大学工学部機械情報工学科 助教授東京大学大学院工学系研究科機械情報学専攻 教授東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 教授東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター 上席研究員 主な受賞歴   2007年2007年2011年2011年2019年2020年2021年 セルビア工学アカデミー 外国人会員世界芸術科学アカデミー フェローIEEE フェローミュンヘン工科大学 特別連携教授日本機械学会賞(技術賞)東京大学 名誉教授IEEE-RAS Pioneer Award トップへ 第7回(2022年度)立石賞 特別賞 受賞者 東京大学 特別教授・名誉教授 合原 一幸 氏 授賞表題:数理情報工学に基づく複雑系数理モデル学の構築とその応用に関する研究 受賞者の業績21世紀の重要研究課題は、脳、生命、免疫などの生体機能、がん、新興・再興感染症などの医学・疫学、エネルギー・電力、通信、交通などの社会経済システム、環境、地震などの安全・安心確保など多岐にわたるが、いずれも多面的アプローチを必要とする広義の複雑系の問題として捉えることができる。受賞者は、数理情報工学をベースとして、複雑系のダイナミクス、ネットワーク構造、観測ビッグデータを、制御、最適化、予測へと結びつける数理的基礎理論を開発して複雑系数理モデル学を構築した。そして、それらの数理的手法を実世界の複雑系へ分野横断的に応用する研究を産学連携で広く展開し、実際の様々な社会課題を解決するための複雑系科学技術の数理情報工学的基盤を開拓した。さらに、企業との社会連携研究部門設置や共同研究等などを精力的に進め、最近では、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業の「複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦」プロジェクトマネージャーや東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構・副機構長として、基礎医学や基礎脳科学の実験・臨床研究を(1)精神疾患・神経疾患、糖尿病やがんを初めとした様々な疾患の超早期精密医療や (2)次世代AI技術の基礎理論とハードウエア実装技術へと、数理情報工学に立脚して橋渡しする研究の中心的役割を果たしている。その研究成果は、人間と機械が真に調和する最適な社会環境の実現に向けて、今後も大きく貢献することが期待される。また、受賞者はこれまでに、原著論文(国際誌)595報、原著論文(国内誌)66報、国際会議1,042報、招待講演335件、編著書110件など世界トップレベルの学術上の功績を上げ続けている。 専門技術の概要・説明受賞者は、現実の様々な複雑系を数理的に解析して制御・最適化・予測するために、「複雑系数理モデル学」の理論構築およびその広範な科学技術分野への応用に関する研究を、主として数理情報工学とカオス工学の観点から行って来た。この「複雑系数理モデル学」の理論プラットフォームは、(1)複雑系の階層的ダイナミクスを制御に結び付ける「複雑系制御理論」、(2)複雑系のネットワーク構造を最適化に結び付ける「複雑ネットワーク理論」、(3)複雑系から観測されるビッグデータを予測に結び付ける「非線形データ解析理論」や「データ駆動型モデリング理論」などを軸に体系化される。そして、この「複雑系数理モデル学」は、非線形科学、脳科学、医学、AIやデータサイエンスなどの発展へ貢献するとともに、多様な応用技術の数理情報工学的基盤として、実社会の様々な課題研究に活用されている。 学歴   1977年3月1982年3月 東京大学工学部電気工学科 卒業東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程 修了、工学博士 職歴   1982年4月1983年4月1986年10月1988年10月1993年4月1998年4月1999年4月2003年10月2010年3月2019年10月2020年4月 日本学術振興会 奨励研究員東京電機大学工学部電子工学科 助手東京電機大学工学部電子工学科 専任講師東京電機大学工学部電子工学科 助教授東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻 助教授東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻 教授東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻 教授東京大学生産技術研究所 教授東京大学生産技術研究所最先端数理モデル連携研究センター長東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構 副機構長東京大学 特別教授 主な受賞歴   1991年2000年2003年2006年2019年2020年 日刊工業新聞技術・科学図書優秀賞「カオス―カオス理論の基礎と応用」東京テクノフォーラム21・ゴールドメダル賞「決定論的カオスの工学的研究」AROB (Artificial Life and Robotics), Academic Achievement Award電子情報通信学会フェロー「カオス工学の提唱と非線形現象の解析に関する研究」明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)・現象数理学三村賞東京大学 名誉教授 トップへ