2023年度助成金贈呈対象決定のお知らせ

2023年度の助成対象が、選考委員会による厳正な審査と理事会を経て決定しましたのでお知らせいたします。本年度は、研究に対する助成として49テーマ、前期国際交流(後期は9月下旬決定)に対する助成として4テーマを選定・決定いたしました。助成対象(助成者と助成課題)については、以下をご参照ください。また、助成対象を代表して、2023年度研究助成(S)の概要を抄録として抜粋しています。贈呈式は、5月17日(水)にオムロン株式会社 みやこホールにて行います。贈呈式の参加は、研究プログラム別代表者と財団関係者とし、助成金受領者はウェビナーにて参加します。

■今回および累積の助成金額

  研究助成
件数・額
国際交流助成
件数・額
合計
件数・額
今回(2023年度) 49件
1億8,184万円
(前期のみ)   4件
(前期のみ) 182万円
53件
1億8,366万円
累積(1990年度~2023年度)
  (立石賞17件を除く)
984件
28億10万円
569件
2億8,737万円
1,553件
30億8,746万円

今回助成される皆様には是非とも研究課題を達成していただき、最先端の科学技術でグローバル社会に貢献していただくこと、そしてさらにはこれらの中から、将来の立石賞受賞者が輩出されることを期待します。

2023年度 研究助成 受領者および研究課題一覧

【研究助成(S)】
最大3,000万円(間接経費含む)/3年を助成 研究期間:2023年4月~2026年3月
No 代表者氏名 所属・職名 研究課題
1 猿渡 洋 東京大学
大学院情報理工学系研究科
教授
スモールデータ機械学習に基づくリアルタイム音コミュニケーション能力拡張システム
2 高橋 裕樹 電気通信大学
大学院情報理工学研究科
教授
手話言語等の多文化共生社会に向けたICTを活用したコミュニケーション基盤構築
申請件数:10件、採択件数:2件

【研究助成(A)】
最大250万円(直接経費)を助成 研究期間:2023年4月~2024年3月
No 氏名 所属・職名 研究課題
1浅野 洋介木更津工業高等専門学校
電気電子工学科
准教授
太陽光型植物工場のための生育状況適応可能な水蒸気飽差制御システムの開発
2泉 朋子立命館大学
情報理工学部
准教授
日常生活行動の中での日用品を介した回想支援インタラクションシステムの開発
3市村 大輔産業技術総合研究所
人工知能研究センター
特別研究員
片側義足による走動作の再獲得過程を解明する計算機シミュレーション
4植野 彰規東京電機大学
工学部電気電子工学科
教授
血圧の無拘束・連続推定に向けたIn-bedポリカーディオグラフの構築と融合解析
5内田 紀之東京農工大学
大学院工学府
特任助教
生体組織に埋め込み可能な生体親和性光ファイバーの設計と応用
6大脇 大東北大学
大学院工学研究科
准教授
Motion Hackingを用いた運動への介入から紐解く昆虫の適応能力
7岡本 行広大阪大学
大学院基礎工学研究科
准教授
構造多様な分子の精密分離と情報工学の融合によるバイオマーカー探索法の確立
8
奥 貴紀

一般社団法人 NeuroPiano
Research group leader
過剰訓練に伴う運動障害の機能正常化トレーニングシステムの創出
9織田 泰彰奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教
鋼管柱目視検査の省力化に向けた水中ロボットの制御および自己位置推定手法の構築
10加藤 遼徳島大学
ポストLEDフォトニクス研究所
特任助教
マルチモーダルナノ分光計測による材料認識ペプチドの機能解明
11金子 直嗣東京大学
大学院総合文化研究科
助教
精神疾患の診断・早期発見に向けた歩行観察・イメージ・遂行時の脳ネットワークの解明
12川村 和也千葉大学
フロンティア医工学センター
助教
転移性リンパ節の術中検知に向けた執刀医協働型ロボテッィクPETディテクターの開発
13倉科 佑太東京農工大学
工学研究院先端機械システム部門
准教授
ハイドロゲルソフトロボットによる細胞組織の高速形成システムの開発
14小林 大造立命館大学
理工学部機械工学科
教授
セレン薄膜を用いた軽く柔らかいピエゾフォトトロニック型ひずみセンサの研究
15佐藤 隆紀電気通信大学
大学院情報理工学研究科
助教
環境との高い親和性を実現する拮抗弾性腱駆動型ロボットの設計と運動制御
16芝軒 太郎岡山大学
学術研究院自然科学学域
准教授
マイクロモータを用いた触覚情報伝達インタフェース
17進矢 正宏広島大学
大学院人間社会科学研究科
准教授
遊具で遊ぶ子どもの動作から運動制御能力を評価するシステムの開発
18大黒 達也東京大学
情報理工学系研究科
特任助教
音楽の身体知:音楽の感動を増幅する感覚共有システムの開発
19高橋 綱己東京大学
大学院工学系研究科
特任准教授
ロバストな集積化酸化物分子センサの熱制御による生体分子群の識別
20中島 康貴九州大学
大学院工学研究院
准教授
車椅子介助者のインピーダンス推定と付与を両立した小型可変剛性ハンドルの開発
21中村 拓人東京大学
情報理工学系研究科
特任助教
複数の錯覚現象生起による知覚力覚に関する研究
22野田 祐樹大阪大学
産業科学研究所
特任助教
体動で発電する生体適合性エネルギーハーベスト素子の開発
23日根 恭子豊橋技術科学大学
情報・知能工学系
助教
バーチャルリアリティにおける知覚の正確さと視点自由度の関連の検討
24藤岡 仁美聖マリアンナ医科大学
医学部 生理学
講師
非侵襲的な振動感覚刺激を用いたうつ病症状緩和システムの基盤構築
25プレーマチャンドラ チンタカ芝浦工業大学
工学部電子工学科
教授
点字ブロック及び全方位環境の認識に基づく自動走行車椅子と利用者間の調和
26Hernandez Vincent東京農工大学
工学研究院
客員准教授
VRと非侵襲センサを用いた在宅リハビリテーションのための人体ウェルビーイング
27本田 雄士東京工業大学
科学技術創成研究院
助教
超音波エレクトロニクスと新規音響増感システムを融合させた革新的音響力学療法の構築
28宮 愛香北海道大学
北海道大学病院
特任助教
ストレス評価尺度測定とIoTデバイスを連動した副腎不全兆候の探索
29村上 洋北九州市立大学
国際環境工学部機械システム工学科
准教授
熟練技能者の技術の継承を支援する人協調型AIシステムの開発
30山内 悠秋田県立大学
システム科学技術学部
特任助教
インフラ点検のための壁面移動可能な自動操舵付きプロペラ推進移動ロボットの実現
31山本 俊介東北大学
大学院工学研究科
助教
有機電気化学トランジスタを用いた生体信号計測・処理システムの開発
32Yalikun Yaxiaer奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
准教授
立体三次元配置多電極による微生物の高速電気イメージングフローサイトメトリーの実現
33楊 巍慶應義塾大学
大学院理工学研究科
特任助教
テキスト付き画像と感情ラベルを付与した画像向けの画像キャプショニングと質問応答
34吉田 さちね東邦大学
医学部
講師
育児ストレス軽減を促す情報基盤構築に向けた父母の心身疲労度センシング
35吉村 奈津江東京工業大学
情報理工学院
教授
脳波計測とアプリを利用した加齢による転倒リスク判定と改善システムへの応用
申請件数:134件、採択件数:35件

 
【研究助成(B)】
最大500万円(直接経費)を助成 研究期間:2023年4月~2025年3月
No 氏名 所属・職名 研究課題
1小山 大介同志社大学
理工学部電気工学科
教授
超音波ゲルレンズの開発と高速光計測技術への展開
申請件数:14件、採択件数:1件

【研究助成(C)】
博士後期課程の学生に年間50万円(直接経費)を助成 研究期間:2023年4月~(最大3年間)
No 氏名 所属 研究課題
1五十嵐 治雄 早稲田大学
大学院先進理工学研究科
高次元空間における力覚フィードバックを用いたインタラクションに関する研究
2 加藤 聡太 名城大学
大学院理工学研究科
人間からの補助情報を利用した学習なしセマンティックセグメンテーション手法の開発
3 澤井 舜 京都橘大学
大学院健康科学研究科
脊椎圧迫骨折高齢者の立位バランスを向上させる視覚フィードバックシステムの開発
4 鄭 仁赫 東京大学
大学院総合文化研究科
eスポーツ熟練者の情報処理能力を司る神経機構の解明とトレーニング法の開発
5 須藤 佑介 東京大学
大学院新領域創成科学研究科
運動技能獲得支援に向けた共収縮の機能の解明-高速性と正確性のトレードオフへの挑戦
6 竹尾 雄飛 大分大学
大学院医学系研究科
大脳駆動型および小脳駆動型運動学習におけるVRから実環境への運動学習転移
7 寺本 優香 同志社大学
大学院文化情報学研究科
単語単位ラベルを考慮したテキストデータ拡張手法の研究
8 中島 利八郎 慶應義塾大学
大学院理工学研究科
切り紙・折り紙構造を用いたMEMS三軸触覚センサアレイ
9 野田 竜之介 聖マリアンナ医科大学
大学院医学研究科
機械学習を用いた低侵襲かつ汎用的な腎臓病診断支援モデルの開発
10 福井 千海 千葉大学
大学院融合理工学府
生体利用型マルチモーダルセンサ系と匂い情報を活用した人捜索システムの構築
11 安田 瑠奈 東京農工大学
大学院工学府
原子ビームとねじり振り子による気体原子から固体へのスピン移行の汎用的な検出
申請件数:25件、採択件数:11件

2023年度前期 国際交流助成 受領者および助成内容一覧

【国際会議発表】
最大40万円(直接経費)を助成 実施時期:2023年4月~2023年9月
No 氏名 所属 発表会議 実施地
1 礒本 俊弥 筑波大学
システム情報工学研究群
The 2023 ACM Symposium of Eye Tracking Research & Applications (ETRA) テュービンゲン、
ドイツ
2 髙田 裕司 京都大学
大学院工学研究科
2nd MICROPHYSIOLOGICAL SYSTEMS WORLD SUMMIT BERLIN ベルリン、
ドイツ
3 鈴木 志歩 東京電機大学
大学院先端科学技術研究科
The 45th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society シドニー、
オーストラリア
4 森永 明日香 東京大学
大学院工学系研究科
243rd ECS Meeting ボストン、
アメリカ
申請件数:6件,採択件数:4件

国際会議発表助成の助成内容は、選考時点のものです。

おもな研究助成の抄録

研究助成(S)
代表者氏名 猿渡 洋
所属・役職 東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授
研究課題名 スモールデータ機械学習に基づくリアルタイム音コミュニケーション能力拡張システム
研究概要 本テーマでは、スモールデータ機械学習に基づく音情報処理及びその音バーチャルリアリティ(Virtual Reality: VR)・拡張現実感(Augmented Reality: AR)システムへの展開を通じて、人間の音コミュニケーション能力拡張の実現を主たる目的とする。具体的には、「なるべく少ない事前情報から複雑な音情景を独立成分に分解し、加工・拡張再現する」という自律的音入出力システムの開発を基盤とし、このシステムの実証的アプリケーションとして「音メディアVR・AR」を開発する。両耳補聴器やスマホ等の不特定多数の音波動センサが一致団結してユーザの受聴を助ける音コミュニケーション能力拡張システムの実現を通じて、人間と機械の融和によるライフイノベーションへ貢献する。
代表者氏名 高橋 裕樹
所属・役職 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授
研究課題名 手話言語等の多文化共生社会に向けたICTを活用したコミュニケーション基盤構築
研究概要 現社会システムは無意識に聞こえる人を前提として構築されており、聞こえない人はコミュニケーションの不自由さを感じながらの生活を強いられる局面が多い。そこで、聞こえない人と聞こえる人双方に新たな学びと創造、社会貢献に資する環境が整備され、聞こえない人も不自由さを意識することなく社会参画し、伸びやかに自己実現できる共生的かつ共創的な社会の実現が望まれる。本研究では、視覚情報処理技術を用いた多様な文法や表現への拡張性を備えた日本手話翻訳の研究開発を通して、これまで手話通訳者不足で困難であった場面でも意思疎通できる環境を提供するとともに、双方の自由闊達で円滑なコミュニケーション基盤構築を目指す。